平屋の片流れの屋根とは?メリット・デメリット、施工事例などを解説
「せっかく平屋を建てたのだから、外観をおしゃれにしてみたい」と考える方は少なくないことでしょう。
平屋の外観をおしゃれにする方法の1つとして、片流れ屋根があります。
平屋との相性がよく、単におしゃれであるという以外にもメリットがたくさんありますが、反対にデメリットも少なくありません。
片流れ屋根を採用する場合は、性質をしっかりと理解したうえで判断する必要があります。
この記事では、片流れ屋根の具体的なメリット・デメリット、施工事例などについて解説します。
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平屋の片流れ屋根とは
片流れ屋根とは、文字通り片方にだけ流れている屋根のことです。
一般的に屋根といってイメージするのは、横から見て三角の形をしたものでしょう。
しかし片流れ屋根は、片方からもう片方に向かって一方的に傾斜していく形状となっています。
とてもシンプルなデザインであるだけでなく、モダンな雰囲気を醸し出す効果があり、近年ではおしゃれな屋根のパターンとして人気上昇中です。
片流れ屋根は平屋との相性がよく、新築の平屋を建てるご家族が片流れ屋根を採用するケースが多く見られます。
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平屋で片流れのメリット4つ
平屋で片流れ屋根を採用するメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- 建築費を安くできる
- 外観がかっこいい
- 屋根裏を広くできる
- 太陽光パネルを設置しやすい
順番に見ていきましょう。
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メリット①:建築費を安くできる
片流れ屋根はシンプルなデザインですが、ここでいうシンプルとは見た目だけではなく、建築物としての造りの意味も含まれています。
つまり一般的な屋根と比べて作りやすいので、建築費を安く抑えることが可能です。
たとえば雨どいを設けるにあたって、片流れ屋根には傾斜が1つしかないため、1つの方向に設置すればそれで完成となります。
屋根の傾斜の数だけ雨どいが必要になるので、片流れ屋根は大きなコストダウンにつながるといえるでしょう。
メリット②:外観がかっこいい
外観がかっこいいことは、暮らしの本質ではないと考える方もいるかもしれませんが、満足のいくデザインの家に住むことは、気持ちのうえでとても大切です。
その点、片流れ屋根の平屋住宅は非常に現代的でかっこよく、「素敵な建物の中に住んでいる」という強い実感を得られます。
近年ではあまり凝ったものではなくシンプルなデザインに美しさを見出す傾向が見られるので、片流れ屋根は時代に即したデザインであるといえるでしょう。
メリット③:屋根裏を広くできる
片流れ屋根はその形状の関係で、背の高いほうをいろいろと有効活用できます。
一例として、屋根裏を広くできることが考えられるでしょう。
たとえば屋根裏を収納スペースにすれば、普段使わないものやシーズンが過ぎたものをたくさん置いておくことが可能です。
これによって普段の生活スペースがすっきりと広くなり、日常生活を送りやすくなります。
ほかにも、映画を観たり本を読んだりする趣味のスペースにすることや、お子様のためのプレイルームや多目的ルームにするといった選択肢も考えられます。
メリット④:太陽光パネルを設置しやすい
近年では個人で太陽光パネルを導入する方が増えていますが、パネルを設置する場合には屋根の形状をしっかり検討する必要があります。
片流れ屋根は太陽光パネルを設置するには適した形をしています。
屋根の表面が南に向くようデザインすれば、屋根面積を最大限に利用して太陽光を取り込めるからです。
また大きなパネルを設置できるのもポイントとなります。
住宅の面積に対して発電効率がよいので、月々の電気代を低く抑えられるでしょう。
平屋で片流れのデメリット4つ
平屋で片流れ屋根を採用するデメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- 雨どいが壊れやすい
- 雨漏りがしやすい
- 湿気が多くなる
- 日陰ができてしまう
事前にしっかり考えておかなければならないものばかりなので、以下の解説を読んできちんと把握しておきましょう。
デメリット①:雨どいが壊れやすい
一般的な三角屋根のように傾斜が2つに分かれていれば、雨水は2方向に分散するので、1ヶ所あたりの負担はそれほど大きくありません。
しかし片流れ屋根の場合、雨水は1つの方向にのみ流れていくので、たった1つの雨どいに大量の水が流れることになります。
結果として、雨どいに大きな負担がかかります。
汚れが溜まって詰まりやすくなりますし、消耗が激しいため壊れてしまう可能性も高めです。
デメリット②:雨漏りがしやすい
片流れ屋根は傾斜が一方向であり、基本的にはすべての雨水が屋根の高いほうから低いほうへ流れていく前提で設計されています。
しかし傾斜の方向とは反対側へ雨水が流れていってしまう可能性もゼロではありません。
傾斜の方向と反対側へ雨水が流れていくと、外壁の隙間に雨水が入ってしまうため、雨漏りが発生してしまいます。
一般的な三角屋根と比べて、片流れ屋根はこの雨漏りが発生するリスクが若干高いことに注意が必要です。
デメリット③:湿気が多くなる
片流れ屋根は大きい屋根が1つしかない構造であるため、空気の循環が悪くなる傾向にあります。
結果として湿気がたまりやすくなり、場合によっては結露する可能性があります。
一般的な三角屋根の場合は、2方向あるいは4方向に空気が逃げていくので、片流れ屋根と比べると湿気が溜まりにくくなります。
デメリット④:日陰ができてしまう
片流れ屋根の住宅は屋根が1面にしか存在しないため、完全に日陰になってしまう時間帯が長いというデメリットがあります。
多くの場合、片流れ屋根は南に向けて設置することが多いため、日照時間のほとんどにおいて日陰ができてしまうかもしれません。
三角屋根のような形状であれば、太陽の高さによって日光が降り注ぐ場所も変わるため、完全に日陰になってしまう時間はそれほど長くありません。
平屋で片流れ屋根の施工事例
こちらのご自宅では、リビングを吹き抜けにし、2階ホールとつなげて伸びやかな空間を実現しています。
柱や梁にもこだわってナチュラルな雰囲気を作り上げ、住み心地のよさが重視されています。
縦の空間を広く確保できているのも、片流れ屋根を採用したから。
もちろん外観にもご夫婦のこだわりが見えています。
内も外も満足のいくご自宅で、ゆったりとした生活を楽しまれています。
平屋で片流れ屋根にする際のポイント
平屋で片流れ屋根を採用する際のポイントとしては、以下の2つが挙げられます。
- 勾配と屋根裏のバランスを考える
- 定期的に雨どいを手入れする
1つ1つ見ていきましょう。
ポイント①:勾配と屋根裏のバランスを考える
屋根の勾配は、あまり大きくしすぎないほうがよいでしょう。勾配がきついと、見た目のバランスが悪くなるからです。
しかし勾配を大きくすることによって、屋根裏を広く確保できるメリットもあります。
したがって、勾配をどれくらいつけるかという外観の問題と、屋根裏を広くする居住空間の問題とのバランス感覚が重要となるでしょう。
ポイント②:定期的に雨どいを手入れする
片流れ屋根に設置された雨どいは、定期的にしっかりと手入れしてください。
片流れ屋根の雨どいは1つしかなく、基本的にすべての雨水が流れ込むため、詰まりやすく壊れやすいからです。
メンテナンスをするのは手間かもしれませんが、これを怠ると雨どいの修理が必要となり、余計なお金がかかってしまいます。
日頃からきちんと手入れを重ねておけば、片流れ屋根であってもすぐに雨どいが壊れてしまうことはありません。
信頼できる住宅会社を選ぼう
注文住宅を建てる際には、信頼できる住宅会社を選ぶことが必要不可欠です。
お客様の要望を丁寧に汲み取ったうえで、適切なプランを提示できる住宅会社を選ぶことで、出来上がる住宅はより理想に近いものとなるでしょう。
弊社アットホームラボの公式サイトでは、はじめて注文住宅を建てるお客様に向けて、基礎知識の解説やお問い合わせページなどを設けております。
理想のお住まいの実現に向けて、ぜひご利用いただければ幸いです。
まとめ
平屋における片流れ屋根について、メリットやデメリット、施工事例などを解説しました。
片流れ屋根はモダンな雰囲気を持ったデザインのほかにも、屋根裏を広く確保できることやコストを抑えられることなどにも魅力があります。
しかしデメリットも同時に存在するので、うまくメリットの部分だけを引き出せる設計にすることが、導入の際の大切なポイントとなります。
この記事を参考にして、ぜひ片流れ屋根の素敵なお住まいを追求してみてください。
この記事の監修
アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
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