シンプルな平屋のメリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説
一戸建てにはさまざまな方向性がありますが、そのなかで最近注目されているものとして、シンプルな平屋があります。
平屋というと昔の日本家屋をイメージする人も多いかもしれません。
近年では、現代的でおしゃれな平屋も数多く見られ、年配の人だけでなく若い人たちからも人気を博していますね。
シンプルな平屋の何が、現代の人々を惹きつけるのでしょうか。
この記事では、あえて2階建てなどではなくシンプルな平屋を選ぶメリットとデメリット、そして注意点などについて、わかりやすく解説します。
シンプルな平屋が注目される理由とは
シンプルな平屋を求める層としては、主に以下のような人々が挙げられますね。
- 家族と常に一緒にいたい子育て世代
- ゆったりと老後を過ごしたい夫婦2人のシニア世代
- 二拠点生活を志向する働き盛りの世代
- できるだけミニマルな暮らしをしたいと考える夫婦
- 単身世帯
たとえば子育て世代の場合、平屋を選ぶことで家族がいつも一緒にいられる感覚が強まり、親が子供を見守りやすくなるところが人気。
シニア世代においては、階段の上り下りがなく、体が動きにくくなってからも生活しやすい家づくりも注目されています。
総じていえるのは、シンプルなことによって色々なことが楽になる点です。
無駄のない平屋は、現代人が望みがちな「ちょうどよい空間」を実現する手段として選ばれるケースが多いです。
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シンプルな平屋のメリット
シンプルな平屋を選ぶメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。
- ローコストで建てられる
- 開放感のある間取りにできる
- コンパクトで移動しやすい
- 家族のコミュニケーションが取りやすい
- 地震や台風などの災害に強い
順番に見ていきましょう。
メリット①:ローコストで建てられる
シンプルな平屋のメリットとして、ローコストで建てられることが挙げられます。
まず2階が存在しないことで、建築する難易度が下がります。そのぶんだけ建築費用の低下につながるのはいうまでもありません。
そして、シンプルな間取りにより、構造的な面でも建築の手間がかからなくなります。
このことによっても、かかる費用が低く抑えられます。
また、家は建てて終わりではありません。定期的にメンテナンスが必要です。
その際にもシンプルな構造の平屋は、大掛かりな足場を組まなくてもよいなどの理由でコストを低く抑えられます。
メリット②:開放感のある間取りにできる
2階建ての住宅では安全性の問題から実現できない開放感のある間取りを、シンプルな平屋であれば実現できるのも大きなメリット。
シンプルな平屋は2階が存在しないぶん、構造的に安定しています。
それにより耐震性が高くなり、柱や壁が少ないワンフロアやLDKを作ったり、大きな窓を作ったりといった風に選択肢が広がりますよ。
横方向でなく縦方向にも開放感の追求が可能で、たとえば小屋裏収納やロフトを作るといった間取りも考えられるでしょう。
メリット③:コンパクトで移動しやすい
コンパクトで移動しやすいのも、シンプルな平屋のメリットの1つ。
2階建ての場合はどうしても、家の中でも移動距離が長くなってしまいます。
若いうちはそれでよいかもしれませんが、年を取ったときにはそれが住みにくさとして浮き彫りになり、気持ちよく暮らせなくなる可能性もあるでしょう。
シンプルな平屋は階段もなく、どの部屋に移動するにも同じくらいの手間しかかかりません。
心地よい生活動線を確保しやすいのは、大きな特徴です。
メリット④:家族のコミュニケーションが取りやすい
前項のメリットと関連することですが、どの部屋とも比較的近い距離を保てるため、家族のコミュニケーションが取りやすいというメリットもあります。
たとえば、子供が小さいうちは、親としてはあまり子供から目を離したくありません。
2階建ての場合は子供部屋を2階に作る場合が多く、そうなると子供が何をやっているか長時間わからない状態が続くことになります。
しかし、シンプルな作りの平屋であれば、違う部屋にいたとしても物音などでなんとなく状況を察することが可能です。
軽く声をかけるだけで呼びかけられるのも大きいでしょう。
家族間のコミュニケーションが濃密になる点は、シンプルな平屋のよいところといえます。
メリット⑤:地震や台風などの災害に強い
シンプルな平屋は文字通り単純な作りになっているため、地震や台風などの災害に強いというメリットもあります。
2階がないため、地震により家屋が倒壊する可能性は低くなりますし、台風などの際に下から吹き上げる風にも強いです。
日本は災害大国なので、自然災害に対して耐久性があるというのは、いざというときのための安心材料といえるでしょう。
シンプルな平屋のデメリット
シンプルな平屋のデメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。
- 建物の坪単価が高くなる
- 日当たりや風通しが悪くなる
- プライバシーや防犯面の対策が必要になる
- 収納が不足しやすい
後になって悔やむことのないよう、デメリットは事前にきちんと把握したうえで検討しましょう。
デメリット①:建物の坪単価が高くなる
平屋には2階がないため、2階建ての住宅と比べると、同じ土地あたりの床面積は狭くなってしまいます。
つまり、建物の坪単価が高くなるということで、これはデメリットと考えるべきでしょう。
2階建ての住宅と同じ床面積を確保しようとすれば、単純にほぼ2倍の広さの土地が必要に。
これから子供を持つ予定がある場合などは、こういったことも念頭において平屋を検討する必要があります。
【関連記事】平屋を新築で建てる際の費用は?費用の抑え方や注意点などを解説
デメリット②:日当たりや風通しが悪くなる
平屋は日当たりや風通しが悪くなる可能性があり、これもデメリットの1つとして数えられます。
なぜ平屋の日当たりや風通しが悪くなるかというと、単純に建物の高さが低いからです。
周囲に高い建物があったり、一般的な2階建ての建物が隣接していたりする場合、日光や風を遮られてしまうので、薄暗く風通しの悪い空間になってしまいます。
デメリット③:プライバシーや防犯面の対策が必要になる
平屋はすべての部屋が1階にあるので、プライバシーや防犯面に問題があることもデメリットといえるでしょう。
単純に外からの視線が届きやすいばかりでなく、開放感のある窓などを設置した場合は、外から侵入される危険性も増えてしまいます。
平屋に住むのであれば、こういったリスクをあらかじめ考慮したうえで、しっかりと対策を立てておく必要があるでしょう。
デメリット④:収納が不足しやすい
シンプルな平屋はその構造ゆえに、収納できる空間が不足しがちです。これもデメリットの1つとして挙げられるでしょう。
ミニマリストとして生活するのであれば、とくに問題はないかもしれません。一般論として、生活していく過程で想像以上に物は増えていくものです。
いざ物だらけになったときどうするかは、シンプルな平屋に住む場合にあらかじめ考えておかなければならないことだといえます。
シンプルな平屋の間取りで注意すべき6つのポイント
シンプルな平屋の間取りについて注意すべきなのは、以下の6点です。
- 動線をシンプルにする
- L字やコの字型の設計にする
- 外壁や開口部にこだわる
- テラスやウッドデッキを活用する
- ダウンフロアリビングで広さを演出する
- 高い天井を活かす
1つずつ解説します。
ポイント①:動線をシンプルにする
平屋の大きな強みは、家の中も移動しやすいことです。その強みをしっかり活かすために、動線をシンプルにすることを心がけましょう。
動線がシンプルになっていれば、家族間のコミュニケーションが円滑に進むだけでなく、年齢を重ねたときにも快適に過ごしやすいというメリットも生まれます。
玄関からリビングまでの生活動線や、キッチンから洗面所などへの家事動線を事前にしっかり考えておきましょう。
ポイント②:L字型やコの字型の設計にする
L字型やコの字型にすることで、光を取り込みやすくなったり、風通しがよくなったりします。
まずL字型ですが、この形は開放的な空間を設計しやすいため、光や風を確保しやすくなりますね。
そしてコの字型は、中央に中庭を作り、それを囲むように建物を建てることになるため、すべての部屋が自然光を取り込みやすい状態になります。
「シンプルな平屋」というと真四角の一軒家を想像するかもしれませんが、L字型やコの字型を検討することで、過ごしやすい空間も設計可能です。
ポイント③:外壁や開口部にこだわる
外壁や開口部にはこだわりを持っておくこともおすすめです。
まず外壁ですが、これはもっとも人目につきやすい部分であり、その家の第一印象を決める重要な要素です。
色合いや素材に徹底的にこだわっておいて損はありません。
平屋は居住スペースを横に確保せざるを得ないので、なおさら外壁が印象を大きく左右すると覚えておきましょう。
開口部(窓)も目につきやすい要素なので、考え抜いて設計するべきです。
プライバシーを確保し、通気性のよいものに仕上げることが肝心なポイントですね。
ポイント④:テラスやウッドデッキを活用する
テラスやウッドデッキを活用するのも、平屋においては重要なポイントとなります。
テラスやウッドデッキは第2のリビングと呼べるものであり、ライフスタイルに大きな影響を与えるからです。
こういったものを整えておけば、天気のよい日に家族でくつろげますし、友人を招いてバーベキューを楽しむこともできるでしょう。
生活の質が一気に向上し、暮らすのがますます楽しくなるはずです。
ポイント⑤:ダウンフロアリビングで広さを演出する
ダウンフロアリビングで広さを演出するのも、シンプルな平屋をよいものにする大きなポイントです。
ダウンフロアリビングとは、一部の床が低く設計されたリビングのことです。
これにより生活空間にメリハリができるだけでなく、段差をベンチのように利用できます。
大勢で食事をしたりホームシアターを楽しんだりといった多彩な楽しみ方が可能になるでしょう。
ポイント⑥:高い天井を活かす
高い天井をしっかり活用するのも、シンプルな平屋を気持ちよく使うポイントの1つです。
平屋は2階がないことと引き換えに、天井が高い傾向にあります。
これを活用するというのはつまり、横だけでなく縦の方向にも空間の活用を考えるということ。
電灯にこだわってもよいですし、あえて装飾などをせずシンプルな広さを演出するのもよいでしょう。
高い天井を活かす発想をしっかり持っておくことで、平屋はより一層過ごしやすい居住空間となります。
まとめ
シンプルな平屋について、メリットやデメリット、よりよく住まうための注意点などを解説しました。
本文中でも解説した通り、平屋には一般的な2階建てなどの住宅にはない利点がたくさんあります。
それらをしっかり理解したうえで住むことにより、魅力を100%引き出せるようになりますよ。
この記事をしっかり読み込んで、平屋に住むときの参考にしてみてください。
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この記事の監修 アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
新築だけでなくリフォームも承っておりますので、気になる方は是非無料相談会にご参加ください!
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