平屋を新築で建てる際の費用は?費用の抑え方や注意点などを解説
コンパクトで住みやすく、バリアフリーなどにも適していることから、近年では新築で平屋を建てる方が増えています。
おしゃれな間取りやデザインも増えており、年配の方々だけでなく若年層の人気も上昇中です。
しかし新築を平屋で建てると費用がかかる、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、平屋を新築で建てる際の費用について土地の広さや予算別に解説するとともに、費用を抑えるための工夫や注意点などにも触れていきます。
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平屋を新築で建てる際の費用相場
平屋を新築で建てる際の費用相場を、本体工事費の坪単価から考えていきますと、たとえば木造住宅の平屋の場合、本体工事費の坪単価は60~80万円程度です。
本体工事費の他に、付帯工事費やその他の諸費用がかかります。
本体工事費との価格のバランスについては、以下のように考えておくとよいでしょう。
- 本体工事費:約70%
- 付帯工事:約20%
- 諸費用:約10%
上記をもとにシミュレーションすると、以下のような数字が割り出せます。費用相場はだいたいこのようになります。
2階建てと比較
一般的に、同じ延床面積であれば2階建ての建物のほうが坪単価を低く抑えられます。
基礎工事や屋根の工事に費用がかかる傾向があり、同じ延床面積であれば平屋のほうが基礎や屋根の面積が広くなるからです。
ただし上記はあくまで一般論であり、「坪単価は平屋のほうが高い」と単純には決めつけられません。
具体的にどのような間取りやデザインにするのかといった住宅仕様や、住宅会社のスタンスによっても大きく変わるからです。
ローコスト住宅を建てるのであれば、平屋であっても坪単価を抑えることが可能ですし、逆にハイグレードな設備を整えるのであれば、価格はどこまでも上昇するでしょう。
どのような家を建てたいのか、というビジョンが最終的な費用を決定します。
平屋を新築で建てる際の土地代の目安
平屋を新築で建てる際に、土地代をどのような目安で捉えておけばよいのかについて解説します。
ここでは広さを以下の3つのグループに分けました。
- 20坪以下
- 20坪~30坪
- 30坪~35坪
目安①:20坪以下
20坪以下の平屋に必要な土地代は、以下のような目安で考えておきましょう。
エリア | 予算の目安 |
東京 | 約830万円 |
大阪 | 約330万円 |
愛知 | 約230万円 |
福岡 | 約120万円 |
【参考記事】国土交通省 令和3年都道府県地価調査(15都道府県別・用途別平均価格)
20坪以下の平屋は、1人暮らしの方やシンプルな間取りで暮らしたいご夫婦に向いています。
1,000万円以下に抑えることは十分に可能なので、なるべくコストを抑えたい方は20坪を上限として設定してみましょう。
目安②:20坪~30坪
20~30坪ほどの平屋に必要な土地代は、以下のような目安で考えておきましょう。
エリア | 予算の目安 |
東京 | 約830万~1,250万円 |
大阪 | 約330万~500万円 |
愛知 | 約230万~340万円 |
福岡 | 約120万~180万円 |
【参考記事】国土交通省 令和3年都道府県地価調査(15都道府県別・用途別平均価格)
20~30坪あれば2LDKや3LDKの間取りを実現できるので、夫婦2人暮らしの方や子供が1人いる方におすすめです。
また庭を広く取りたい場合には、あえて1LDKに設計し、余裕を持った土地の使い方をするのもよいでしょう。
目安③:30坪~35坪
30~35坪ほどの平屋に必要な土地代は、以下のような目安で考えておきましょう。
エリア | 予算の目安 |
東京 | 約1,250万~1,460万円 |
大阪 | 約500万~580万円 |
愛知 | 約340万~370万円 |
福岡 | 約180万~220万円 |
【参考記事】国土交通省 令和3年都道府県地価調査(15都道府県別・用途別平均価格)
45~60坪の土地があれば、3LDKや4LDKの間取りを取れるので、子供が2人以上いるファミリー層や3世帯で暮らしている方にぴったりです。
4LDKの平屋にかかる建築費用はだいたい1,560万~2,730万円ほどなので、東京に土地を買ったとしてもうまく工夫すれば3,000万円程度に抑えることも可能となります。
3LDKや4LDKの平屋を検討される方や、子供が2人以上いるファミリー層や3世帯でゆったりとした間取りを考えている方は、土地は余裕を持った大きさで考える必要があります。
予算別の新築平屋の間取り例
ここでは予算別に、新築平屋の間取りとして典型的な例を挙げていきます。
間取りは各人の好みで決めるものですから、あくまでも1つの例として参考にしてください。
間取り例①:1,700万円
1,700万円の新築平屋だと、よくある例として以下のような間取りが想定されます。
間取り | 2LDK |
世帯人数 | 4人 |
延床面積 | 20坪程度 |
2LDKの間取りを確保できるので、家族3人で暮らすことが可能です。
坪数の目安は、だいたい20坪からそれより少し上くらいになるでしょう。
間取り例②:2,000万円
2,000万円の新築平屋の間取り例としては、以下のようなものが提示できます。
間取り | 3LDK |
世帯人数 | 4~5人 |
延床面積 | 27〜28坪程度 |
建物に2,000万円の費用を出せるのであれば、3LDKで4人暮らしをすることも十分に可能です。
延床面積は28坪程度が妥当でしょう。
間取り例③:2,500万円
2,500万円の新築平屋の間取り例としては、以下のように広い選択肢が提示できます。
間取り | 2LDK~5LDK |
世帯人数 | 3~5人以上 |
延床面積 | 40坪程度 |
建物に3,000万円の費用を出せるのであれば、テラスを設けて開放感を演出し、平屋の課題の1つである「日光をきちんと取り込む」ことも容易に解決できます。
土間も広く取れるので、アウトドア用品やベビーカーなどを玄関付近に置いておくこともできるでしょう。
また、あえてシンプルな間取りにすることで、部屋数を多くして大人数で暮らすことも可能です。
新築平屋の費用を抑える4つの方法
平屋を新築で建てる際に費用を抑える方法としては、以下の4つが挙げられます。
- 間取りを工夫する
- コストダウンを意識する
- シンプルな外観にする
- 余計な建具は減らす
方法①:間取りを工夫する
コスト削減を重視するのであれば、間取りを考える際に壁の仕切りを最小限にすることを意識しましょう。
たとえば寝室などの個室は一般的に壁で仕切る設計になっていますが、オープンな空間にすることでリビングを広く使えるようになります。
また在宅ワークなど、限られた時間内だけ個室のように空間を使いたい場合は、壁を作るのではなく取り外し可能なパーティションの設置などで解決することをおすすめします。
方法②:コストダウンを意識する
ユニットバスやシステムキッチンといった設備のグレードを見直すことは、着実なコストダウンにつながります。
住宅設備メーカーはハイグレードなものをショールームに並べており、見ているとつい奮発したくなります。
しかし本当に必要なものなのか、一度立ち止まって慎重に検討することが大切です。
また外装や内装の仕上げ素材についても、コストダウンを図る余地があります。
1平米あたりの単価で考えているうちはそれほど違いを感じませんが、使う面積が大きくなるほど差が出てくるので、許容できる範囲で安価なものを選んでおくのがおすすめです。
方法③:シンプルな外観にする
平屋を新築する場合、外観はできるだけシンプルにすることをおすすめします。
コストを抑えられるだけでなく、洗練された印象を与えることにもつながるからです。
凹凸の多い形状は、外壁の面積が増えるうえに屋根も複雑になるため、材料費や施工費が割高になります。
シンプルさを意識することで、かかる費用はまったく変わってくるので慎重に考えましょう。
【関連記事】シンプルな家の間取りをご紹介!無駄を省いたおしゃれなお家
方法④:余計な建具は減らす
室内の建具はできるだけ減らすことを心がけましょう。
たとえば以下のようなものは、本当に必要なのか入念に検討する余地があります。
- 洗面所と脱衣所のあいだの仕切りカーテン
- キッチンとパントリーを仕切るロールスクリーン
- 子供部屋の収納にオープンタイプを採用する
「あったらオシャレかもしれないな」くらいの気持ちでさまざまな建具を希望すると、積もり積もってかなりの金額になってしまいます。
常にコストのことを考え、必要か不必要かシビアに考える視点をもっておきましょう。
新築平屋のメリット・デメリット
ここでは新築平屋のメリットとデメリットについて、ざっくり解説します。
メリット
平屋住宅のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 子供や高齢の家族も安心できる
- 家事の移動が少なくて楽である
- 天井を高くできる
- コンパクトな家族にフィットする
- 庭付きで自然を身近に感じられる
- IoTを導入しやすい
- 地震や台風に強い
バリアフリーを実現しやすいことや、掃除などの日常的なメンテナンスが楽であること、地震に強いことなどが、とくに大きな強みです。
デメリット
平屋住宅のデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 広めの土地が必要になる
- 坪単価が高くなりがちである
- プライバシーを保ちにくい
- 水害に弱い
平屋と2階建て住宅を比べたとき、同じ延床面積を求めるのであれば平屋のほうがどうしても広めの土地が必要になります。
基礎や屋根の面積が大きいため、坪単価が高くなりがちなのもデメリットといえるでしょう。
また1階建てであるため、水害が起きて浸水したとき2階に避難するといった選択肢がとれないのも考慮すべき点です。
新築平屋を建てる際の4つの注意点
新築の平屋を建てる際の注意点としては、以下の4つが挙げられます。
- 建ぺい率を考慮する
- 日当たりと風通しのことも考慮する
- 防犯対策をする
- 住宅会社で費用が異なる
注意点①:建ぺい率を考慮する
平屋の新築を建てる際には、建ぺい率をしっかりと確認しておきましょう。
建ぺい率とはざっくりいうと「その土地にどれくらいの大きさの建物を建てられるか」という決まりのことです。
つまり、狭い土地に大きな家を建てるには限度があることになります。
平屋は1階建てなので、延床面積が土地の広さに制約される面が強くあります。
所有する土地にどのくらいの平屋が建てられるのか、正確に把握しておくことが重要です。
注意点②:日当たりと風通しのことも考慮する
平屋は周囲の環境によっては、日当たりや換気をしっかり考える必要があります。
たとえば背の高い建物に囲まれていると、どうしても太陽の光が室内に入ってくる割合が低くなってしまいます。
できるだけすべての部屋にしっかりと光を取り込めるよう、工夫しなければいけません。
日光を取り込んだり風通しをよくしたりするのに効果的なのは、天窓をつけることです。
コスト面との両立を考えながら、ぜひ検討してみましょう。
注意点③:防犯対策をする
平屋は1階建てであるため、悪くいえばどこからでも侵入できてしまいます。
そのため防犯対策はしっかり強化しておかなければいけません。
たとえば踏むと音の出やすい砂利を床に庭に敷き詰めておく、死角になる窓には格子をつけるといった工夫が考えられます。
あえて塀を低くして、近隣住民や通行人が庭を目視しやすいようにしておくのも対策の1つです。
注意点④:住宅会社で費用が異なる
一般的に平屋の新築は2階建てと比べて費用がかかるといわれていますが、あくまでも一般論にすぎません。
新築の平屋を建てる費用は、住宅会社によって大きく異なります。
大切なのは、複数の住宅会社に見積もりをとり、どこにお願いするのが費用面と内容面でもっともバランスがとれているかを慎重に見極めることです。
その際に何かわからないことがあったら、遠慮なく住宅会社に質問してみましょう。
平屋の施工事例
平屋の施工事例として、このようなケースがあります。
市内の繁華街にある老舗のバーをモデルにしたデザイン。
その雰囲気をしっかりと再現するため、ご主人の要望で担当していたスタッフ全員で店に同行したほどの徹底ぶりです。
キッチンとダイニングに力を入れており、大人びた雰囲気のなか、ご夫婦でグラスを傾ける時間を存分に楽しんでおられます。
コンパクトな空間に望むものすべて詰め込んだ、近年の平屋人気を象徴する建物であるといえるでしょう。
まとめ
新築で平屋を建てるにあたって、予算別・土地の広さ別にどのように考えればよいか。
費用を抑えるにはどのような点に注意すればよいか。といったことを解説しました。
平屋はコンパクトで過ごしやすい点がメリットで、住み心地を考えるのであれば非常に強力な選択肢となります。
一方で坪単価が高かったり広い土地が必要だったりと、コストがかかる点は否めません。
予算と相談しつつ、優先順位の高いものから実現していくのが新築平屋を建てるコツとなります。
新築の平屋を建てようと思っている方は、ぜひこの記事を参考にしてポイントを押さえておきましょう。
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この記事の監修
アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
新築だけでなくリフォームも承っておりますので、気になる方は是非無料相談会にご参加ください!
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