漆喰壁はアレルギーの原因?それぞれの関係をわかりやすく解説
漆喰の壁は、注文住宅を建てる際などに人気です。
塗り方によって壁の表情が変化し、見た目の楽しさがあるためデザイン重視で選ばれるケースが多く見られます。
このようにデザイン面で人気のある漆喰ですが、一方で「漆喰の壁がアレルギーの原因になるのではないか?」ということがよくいわれます。
昨今ではアレルギーを持っている人も増えてきたため、その噂は昔よりずっと重いものとして扱われているように見受けられます。
この記事では、漆喰壁とアレルギーの関係についての正しい知識を解説します。
さらに室内に存在するアレルゲンや、漆喰壁のあまり知られていない機能などにも触れていきますよ。
漆喰壁はアレルギーの原因?
結論からいいますと、漆喰壁はアレルギーの原因にはなりません。
少なくともある程度の品質が保たれた漆喰であれば、理論的にアレルギーの原因になるものは含まれていないと断言できます。
ある程度の品質が保たれた漆喰とは、本来の形である自然素材の組みあわせのみで構成された漆喰のことです。
安い漆喰には化学的成分が含まれていることもあるのでこの限りではありませんが、通常の漆喰であれば問題はないといえるでしょう。
それどころか漆喰には、むしろ逆にアレルギーを防止してくれる効果も期待できます。
詳しいことは後述しますが、漆喰の持つ性質によって、アレルギーの原因であるさまざまな要素が除去されるからです。
したがって、アレルギーを心配して漆喰壁の使用をためらう必要はありません。
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室内に存在する5つのアレルゲン
アレルギーを引き起こすものは、アレルゲンと呼ばれています。
室内に存在し、住んでいる人が日常的に吸い込んでしまう可能性のあるアレルゲンとして代表的なのは、以下の5つです。
- 害虫
- カビ
- ペット
- 燃焼性生物
- 揮発性有機化合物
1つ1つ解説していきます。
アレルゲン①:害虫
害虫、具体的にはチリダニやゴキブリといった虫は、室内に住む生命体の中でも、もっともアレルギーを引き起こす可能性の高い存在です。
チリダニもゴキブリも人を刺したり伝染病を媒介したりすることはないので、一見すると無害なように思えます。
しかし問題となるのは、彼らのフンです。
たとえばベッドや布団には約200万粒のチリダニのフンが転がっているといわれており、人の目・鼻・口に入ると、粘膜を刺激してアレルギーを引き起こす可能性があります。
ゴキブリのフンも、チリダニほどではありませんが同じような悪影響をもたらすことも。
これらのアレルゲンから完全に逃れるのは不可能かもしれませんが、日頃から寝床をマメに掃除して、少しでも多くのフンを取り除いておくことが大切です。
アレルゲン②:カビ
室内の湿度が高い状態が維持されると、全体としてカビの温床となります。
濃度の高いカビの胞子が舞い上がると、それを吸い込んだとき花粉症に似た症状をもたらすケースがあります。
これもアレルギーの理由の1つです。
またエアコンの掃除を怠っている場合、エアコンの内部にカビがびっしりと繁殖している可能性があります。
この状態でエアコンを稼働させると、内部のカビが空気と一緒に飛び出てきて、部屋中を漂うことになりますね。
これを吸い込んでしまうと、やはりアレルギー症状が引き起こされるので、エアコンの掃除はシーズン前に行っておくことをおすすめします。
アレルゲン③:ペット
犬や猫を飼っている場合、その唾液やフケがアレルゲンとなり、アレルギー症状を引き起こす可能性があるでしょう。
いわゆるペットアレルギーと呼ばれているものが該当します。
ペットアレルギーは必ずしも全員に現れるわけではありません。血の繋がった家族であっても、発症する人としない人に分かれます。
この場合、発症する人にあわせて生活の仕方を考える必要があるでしょう。
アレルギー症状は地味ながらつらいものであり、周囲の人間がしっかりフォローする必要があるからです。
アレルゲン④:燃焼生成物
燃焼生成物とは、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、タバコの煙といったものを指します。
これらはアレルゲンであり、アレルギー症状を引き起こす原因の一種。
タバコの煙などはもともと有害なものとして広く知られており、許容範囲を超える濃度を吸い込めば誰でも健康を損ないます。
しかし、アレルギー体質の人は、ごくわずかな量であっても過剰反応を引き起こすので注意が必要です。
アレルゲン⑤:揮発性有機化合物
揮発性有機化合物とは、塗料や洗剤、殺虫剤などに含まれる物質のことです。該当する成分にはさまざまなものがあります。
そして、なかでもホルムアルデヒドは、深刻なアレルギー反応を示す人がいることで知られています。
揮発性有機化合物によるアレルギー症状を持つ状態を、シックハウス症候群と呼ぶことも。
シックハウス症候群の主な症状としては、「目がチカチカする」「鼻水が出る」「喉が乾燥する」「吐き気がする」といったものが挙げられます。
漆喰壁がアレルギーを防止できる理由
本記事の序盤で、漆喰の壁にはアレルギーを防止する効果があると解説しました。
その具体的な理由としては、主に以下の5つが挙げられます。
- 防カビ・防菌効果
- 有害物質浄化作用
- 調湿性
- 不燃性
- 長耐久性
どれか1つだけが作用するというより、これらの合わせ技によってアレルギーを防止する結果につながるケースが多く見られますね。
理由①:防カビ・防菌効果
カビや細菌は、アレルギーを引き起こす原因として代表的なものです。漆喰壁には、これらの繁殖を防ぐ効果があります。
カビや細菌が室内で繁殖しやすい理由としては、室内の気密性が高く密閉空間になりがちなことが挙げられます。
どれだけしっかり換気したとしても、どうしても室内は外界と比べて湿気がこもってしまうので、ある程度は仕方がないことといえるでしょう。
カビが繁殖することによって、ダニやシロアリを引き寄せることにもつながります。
それらによる二次被害の危険性も考えなければいけません。
漆喰壁は強アルカリ性という性質を持っており、カビを含めて菌類が生存しにくいといわれています。
そのため、漆喰壁を採用することで、少なくともアレルゲンが壁の表面では育たないことが期待できるでしょう。
理由②:有害物質浄化作用
アレルゲンの1つとして、揮発性有機化合物があることはすでに解説しました。その代表的なものがホルムアルデヒドです。
ホルムアルデヒドを吸い込むことで、目がチカチカしたり喉が乾燥したりといった症状をもたらす「シックハウス症候群」になる危険性があります。
漆喰壁には、このホルムアルデヒドに代表される有害物質を吸着し分解する効果があり、一番のメリットであると考える人も少なくありません。
理由③:調湿性
木材と同様、漆喰壁には湿気の吸収と拡散によって室内の湿度を一定に保つ「調湿性」があります。
これによって室内がじめじめするのをある程度まで抑えられ、カビや細菌などが繁殖するのを防ぐ効果が生まれますよ。
漆喰壁には無数の小さな孔が空いており、これらが余計な湿気を吸う仕組みです。
反対に周囲が乾燥した場合には、吸い込んだ湿気を外に放出し、室内の湿度のバランスを整えてくれます。
アレルゲンの増殖を防ぐだけでなく、結露を抑制するのにも役立つのは嬉しいですね。
理由④:不燃性
漆喰はほぼ無機物なので不燃性を備え、不燃性は火事になったときに延焼の勢いをある程度抑える効果があります。
そのほかの効果としては、アレルゲンの増殖を抑えるのにも役立ちますよ。
理由⑤:長耐久性
壁一面に塗られた漆喰は、空気中の二酸化炭素と反応することで石化していきます。
時間が経つほど石化は進んでいき、それにつれて耐久性が増していくため、漆喰を使った家の壁は古いほど頑丈です。
結果として漆喰の壁は、100年経っても劣化しない長耐久性を持つことになりますよ。
こういった性質により、漆喰壁は強いアルカリ性を備えます。
アルカリ性にはカビを含めた菌類を繁殖させない効果があることは、すでに解説した通りです。
まとめ
漆喰壁がアレルギーとどのような関係があるのかについて、一通り解説しました。
本文中でも述べた通り、漆喰壁はアレルギーを引き起こす原因ではありません。
むしろアレルギーを予防する効果があり、アレルギー体質の家族がいる場合などには、積極的に採用すべき素材であるといえるでしょう。
この記事を参考にして、ぜひ漆喰壁を自宅に取り入れることを検討してみてください。
漆喰壁に関してスタッフにご相談されたい方は、お問い合わせページよりご連絡ください。
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この記事の監修 アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
新築だけでなくリフォームも承っておりますので、気になる方は是非無料相談会にご参加ください!
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